社員待遇でプロゲーマーに! eスポーツ実業団A型 Team UNITE 渡邊氏に聞く

北村:eスポーツ実業団というあまり聞き慣れない形態でプロゲーマーの育成に取り組む株式会社アカツキ(一部上場)においてTeam UNITEオーナーの渡邊様に選手採用計画について話を伺いました。

北村:はじめに実業団に取り組む意味や目標など伺わせてください。

渡邊氏:まず、eスポーツには実業団方式が合っていると思い、会社に提案して始めました。選手は日々の生活や将来への不安生活の心配なく、ゲーミング活動に取り組める実業団方式こそ理想の環境だと考えるからです。この実業団方式でプロゲーマーを育成・輩出してeスポーツ業界の発展に少しでも寄与できることを目標にしています。

北村:実業団とはどのような待遇と条件なのでしょうか?

渡邊氏:実業団なので会社の実務を一部担って頂きます。具体的には4時間アカツキ業務を行って頂き、残り4時間を練習に充てて頂きます。基本的な雇用契約は契約社員となり3ヶ月更新となります。これはもともとのアカツキの契約社員の雇用フォーマットと同じです。残業はありません。

待遇は社員と同じなので、社保完備・福利厚生完備・ゲーミングPC貸し出し・周辺機器提供など

北村:一般的なプロチームの契約は「成果報酬型」または「年棒型」の「業務委託契約」なので、固定給がもらえて正社員並みの福利厚生環境が揃っているとは理想的な環境ですね。応募してくる選手も多いと思いますが平均年齢はどれくらいですか?

渡邊氏:募集してみて分かったのですが、20歳前後で大学生が多いです。

大学を辞めてきてもらうわけにはいかないので、日々の授業との折り合いが着くような時給換算の「アルバイト」制度を新たに設けました。こちらは6時間勤務(3時間通常業務+3時間練習/勤務時間帯は制約あり)といったライトな内容が基本ですが、その他の待遇は社員とほぼ同じです。最低時給1100円以上からですが力量や成績によって上乗せしていく仕組みです。   

北村:募集しているタイトルは何になりますか?

渡邊氏:Apex Legends (PC)で世界大会参戦を目指しています。

北村:応募資格はありますか?

渡邊氏:学歴一切関係なし、性別年齢も問いません。ストリーマー経験もあればプラス評価しますが、基本的にはプロゲーマーを目指す方を募集していますとなります。

北村:採用基準を教えてください。

渡邊氏:まずはアカツキという会社の文化にあっているか?という部分を重視します。アカツキでは社員の主体性を大事にしており、自分自身が何をしたいのか旗を立て、そのためにどうしていくのかということを社員全員に求められます。

具体的にいうと、「自己管理能力」「ビジョンを言語化できているか」

「自ら課題を発見できるか」「環境に依存せず、自走して成長していけるか」など。その上で、ゲームの力量を評価しますが、今現在の力量評価に加えて今後の伸びる余地を評価します。

北村:一部上場企業のアカツキがスポンサーとなるとSNS上での表現には人一倍気を使うことになりそうですね。

渡邊氏:その通りで、採用評価にあたっては最も注力している手間がかかる部分です。

実業団とはいえ、スポンサーである一部上場企業の看板を背負ってタレント活動を行うことの自覚をどこまで持ってくれるのか?という部分を過去のSNS利用状況等から判断させて頂きます。契約社員として社内の情報にも触れる機会もあるので、インサイダーなどの情報の取り扱い責任も生じることを理解してもらう必要があります。

ですが、若い人が多いので、SNSなどで感情的になることがあることも理解できます。だからこそ、これまでの自分自身をしっかり内省し成長していける方を求めています。

北村:採用プロセスを教えてください。

渡邊氏:現在は一般公募で書類審査(履歴書送付又は職務経歴書)から二回の面談を通じて採用になります。今回のスカウトリーグでのトライアウト大会の成績は評価しますが、書類審査と二回の面接は受けて頂きます。従来では書類や面談では選手の力量を正確に評価するのが難しかったので、トライアウト大会で評価できるのはありがたいですね。

北村:現在の応募の状況を教えてください。

渡邊氏:公募での問い合わせ300名で、合同説明会には200名程参加してもらいました。その中から1次面接30名通過し、最終面接で10名ほど私が対応させて頂き、現在2名の採用を予定しております。ですので残り1名枠と、あとは気になる選手がいれば追加検討する、という状況です。

北村:狭き門ですね。加えて、選手採用に手間とコストをかけていることに驚きを感じます。最後にプロゲーマーを目指すこれからの選手にアドバイスを御願いします。

渡邊氏:多くのプロゲーマー志望者と面談していますが、まずは「言行一致」を意識してほしいことです。面談や履歴書で「やる気」をアピールしても日々の努力や自己管理が伴っていないと意味を為しません。

今回、「Team UNITEの入所機会があるから頑張る」では遅いんですね。チャンスが来た時にフルスィングできる状態を、常日頃からを作っている人が評価されるということを理解してほしいです。言い換えるならば、そういう人を探しています。
※言行一致(げんこういっち)言っていることと行動が一致することを指す。

社会人としての常識やマナーを理解できる方、そしてプロを目指す「覚悟」を持った選手と出会いたいですね。

という面では、社会人としての常識やマナー、そしてプロを目指す「覚悟」を持った選手と出会いたいですね。

北村:ありがとうございました。

Team UNITE URL : https://team-unite.jp