北村:はじめにTEAM iXAの成り立ちと状況を教えてください。
板垣氏:iXAを立ち上げて二年くらいですね。もともとは別会社のプロチームの責任者だったこともあり、その延長で独立してiXAを立ち上げました。
北村:TEAM iXAといえば格ゲーが強い印象があります。
板垣氏:ありがとうございます。ストリートファイター部門は4人所属していまして、中心選手のストーム久保は世界ランカーでもあります。加えて、BBTAGについてはアークレボジャパン2018 覇者の剛田選手も所属しています。
北村:充実していますね。格ゲー以外の取り組みはいかがですか?
板垣氏:はい。まずはHADOについては4名の選手が所属しており、日本ランキング1位の成績を残しています。。同時に最近はロケットリーグも力を入れていまして 先日のアジア大会ではアジアチャンピオンになりました。
本来であれば今年、東京五輪に先駆ける形で、Intelがeスポーツオリンピックの様な大きなイベントを開催する予定だったんですね。この大会の採用タイトルが「ストリートファイター5」と「ロケットリーグ」だったので注力してきた、という背景があるのですがコロナで延期になって残念に思っています。
北村:そんなイベントが計画されていたんですね。オンラインで対応できないHADOといい、コロナの影響をもっとも受けているプロチーム と言っていいかもしれませんね(苦笑) ちなみに契約形態はどの様なっていますか?
板垣氏:まだ少ないのですが正社員と、通常のプロ契約ですね。
北村:プロチームで正社員とは珍しいですね。
板垣氏:かもしれません。格ゲーから始まったという背景もあり、当時は、配信で食えない上に、海外大会も多く、活動コストがかかる側面が多いことから、練習に専念してもらいたくて正社員制度を導入しました。実業団とは違い100%プロ活動に専念してもらうので多くの選手と契約できませんが、出来るだけ選手には安定した環境を提供したいと思っています。
北村:なるほどですね。では今後の注力タイトルを教えてください。
板垣氏:FPSにも取り組んで行こうかなと思っています。タイトルで言うと、ValorantとApex Legendsを検討中です。
北村:従来の採用方法はどういった方法で行っているんですか?
板垣氏:まずタイトル選定の段階で従業員が「このゲームが好きだから取組みたい」という所を基準にしていますね。その方式だと、すでにコミュニティの中に本人がいちプレイヤーとして入り込んでたりするので、強い選手の情報に出会いやすく、その流れで選手を連れてきて…みたいな感じですね。
北村:今後の採用についてはどうでしょう?
板垣氏:まず格闘ゲームについては引き続き注力するので、我こそはという方は是非HPからコンタクトしてください。
Valorantについてはすでに進んでいるので、新規募集の際は改めてTwitterなどで通知いたします。
Apexは個人的にも好きなタイトルでして、取り組み方法を模索している状況です。何かアイデアと情熱がある方はHPから問い合わせください。(現状は私がただ毎日プレイしているだけです。それにしても自分の下手さが嫌になりますね。)
北村:採用基準があれば教えてください。
板垣氏:明確なものは決めてないのですが、プレイの技量評価は大前提として、面談時には「地頭の良さ」「誠実さ」を見ています。同時にプロゲーマーは人気商売でもあるのでSNSでの「最近の発言」も見ていますね。
北村:プロゲーマーとして成功するためには何が必要なんですか?
板垣氏:よく聞かれる質問ですが、難しい話だなと。何をもってして成功と言えるのか。ただ一つ言えるのは、プロという職業は「ファン醸成」が根幹にあると思います。ファンになって頂くには、大会で勝ってヒーローになること、そしてプロゲーマーとしてのストーリー、つまり「ゲームを通した人としての個性」を作っていくことが大事だと思います。
北村:ありがとうございます。では最後にプロゲーマー を目指す人たちにアドバイスをお願いします。
板垣氏:とにかく一番を目指せ!とかでしょうか。目指せば、その過程で何かが見えてくると思います。あとは「覚悟」ですね。プロゲーマー問わず、芸能や野球といった他の分野でも言える事だと思いますが「覚悟」という壁にぶち当たってもらいたいですね。
私の体験談で言うと、以前やってたプロチームの時の話なんですが、16歳の高校一年生が学校を辞めてプロになりたいと言ってきたことがあります。当然、ご両親ともお話させて頂きました。ただこの時、私以外のスタッフは全員反対したんですね。彼の人生に影響が大きすぎると。当時かなり社内で揉めた記憶があります。ただ逆の視点だと「プロになるチャンスを大人の都合で潰してしまっている」という考え方もあるかもと思ったんですね。なので私は、彼が考え抜いた上での結論であれば、その「選択」と「覚悟」を尊重すべきとの判断をしました。そして我々も彼と向き合う覚悟をしました。
仮にプロとして大成できなくても、「自己決定」と「覚悟」、そしてベストを尽くしたと言う「自己納得」があれば、一生それを糧にやっていけると思ったからです。
結果的には、彼よりも強い選手がおり、採用には至らなかったのですが、我々にとっても、彼にとっても、彼のご家族にとっても「生き方」や「人生」を考える良い機会になったと思います。
スカウトリーグは18歳から22歳といった層が多いと聞いています。人生で初めて自身で人生選択を迎える年齢層ですよね。そう言う意味では、プロゲーマーを目指すと言うのはテクニック的な部分よりも(もちろん大前提として大事な部分ですが)、前述の「覚悟」の側面が実は重要だと思っているので、スカウトリーグを通じて自分の人生に向き合うこと自体が価値のあることなのではないでしょうか。大いに悩んで自分で選択するきっかけになると良いですね!
北村:ありがとうございました。
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